地方の豊かさを、焼肉を通して伝えたい。
「きゅうこん」は、「九州の魂」を意味する焼肉レストランです。
なぜ九州なのかといえば、私の故郷である熊本県菊池市で育った牛肉や豚肉、野菜を中心にしたメニューづくりをしているためです。
大分県や福岡県との県境に近い菊池市は、九州でも有数の深い山のなかにあります。きゅうこんのお店のイメージにもなっている原生林が広がる菊池渓谷や、トロんとした湯質の菊池温泉などで知られていて、じつは全国の「菊池さん」のルーツともいわれる街もあります。
水がきれいで土がよいことから、米作りや畜産、酪農が盛ん。南北朝時代には九州の歴史の中心地だったこともあって文化もある。私にとっては、ほかのどの街よりも美しく魅力的な大切な故郷です。
菊池にある実家は、山瀬牧場という肉牛を育てる畜産農家です。僕の友人たちも家業を継いだり、新しい事業を始めたり、もちろん市外に出た人もいるけど、地元で根を張って生きています。
きっと僕たちは、菊池で生まれて育って、役目を終えたら死んで土になる。そうやって先祖代々受け継がれてきた連鎖の一部であり、その土の上に立って食物を育て、その実りをいただいていると思うと、菊池の土は、先祖や次の世代を含めた私たちそのものなのではないかと思っています。
「きゅうこん」は、もちろん球根も意味しています。菊池の土のなかで養分を蓄えて、春になって芽を出すその日を待っている。その芽を出す場所が「きゅうこん」であればいいですよね。
私自身は、肉師®という名で全国の牛や羊、豚などの農家をまわり、良い肉を適切に届けることを仕事にしています。そのため、これまでに日本中の生産地をいくつもまわってきました。すばらしい環境と意識をもった生産者のみなさんが日本各地にいらして、いつも刺激を受けています。
ですが、やはり「菊池がいい」と私は帰りながら思ってしまいます。
故郷に対する贔屓目は大いにあると思いますが、私はそれでいいんだと思っています。私自身が最高の牛肉の産地だと思っている菊池の牛肉や、故郷で育った食材を使った焼肉店ができたことはとても幸運で幸せなことだと思っています。
とはいえ「きゅうこん」では、みなさんに無理に菊池市の食材や熊本県の食材を食べてもらいたいわけではありません。じっさいに店では、菊池市以外で育った良質な日本のお肉をご紹介しています。
感じてほしいのは、故郷を思う気持ちです。こんなに故郷を愛する肉好きの男のお店で焼肉を楽しんでもらったら、きっとあなたもご自身の故郷のことを思い出すはずです。
故郷を思い、豊かな日本の各地に目を向ける。焼肉を通じて、地方の豊かさをお客様とともに大切にしていければと思っています。
きゅうこん 肉師®山瀬健策
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